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SL-C700製品レビュー
 
法林岳之が語る森田昌宏が語る
SL-C700はMIザウルスの乗り換え対象となるか?

2002年12月14日、VGAの解像度とキーボードを持ったLinuxOS搭載のSL-C700が発売されました。
2年前のMI-E1衝撃のデビューから、MI-L1、E21、E25DCとキーボードを始めとしたボタン回りやブラウザなどの改良等熟成を重ね、また、数が少ないと言われながらも優秀な追加ソフトにより、使い勝手がよいMIザウルスから乗り換える価値があるか考えている方も多いかもしれません。
そこで、MI-E21からLinuxOSのSL-C700に乗り換えた筆者の感想をこの場を借りて報告します。



イメージ画像 SL-C700を語る上では、なんと言っても液晶の奇麗さは外せません。特に画像を表示させた画面は、他のPDAでは味わえないほどの幸せを感じます。また、エクセル互換アプリケーションで最小表示した時は正直びっくりしました。もちろん、文字サイズは一番小さなフォントでも潰れることなく読むことが可能です。

 そんなすごい液晶ながら、既に店頭で触っている方はご承知の通り、本体サイズは非常にコンパクト。その形状からヒンジ部分が幅広くなっていますが、小ささ薄さで話題となったSL-A300にコミュニケーションアダプタを装着した状態とほぼ同じような感じです。今までのザウルスと同様にワイシャツの胸ポケットに入れておいても違和感はほとんどありません。E21と比べるならば、むしろ厚みはそんなに変わらないながらも、長さが短くなっているのでポケットに入れておいてもより自然かもしれません。

 ノートPCのようなインプットスタイルとパッド型PDAのようなビュースタイルを、液晶部分を回転させることで可能としているギミックも外せない特長の一つです。

 液晶の回転によって、自動的に画面の縦横切替が行われます。通常2〜3秒で切替わりますが、ブラウザ(NetFront)などでは切替に少し時間がかかる場合もあるので、もう少し早くても良いのではないかとも思っています。

イメージ画像まず、インプットスタイルでの使用感についてですが、キーボードは、パソコンのように打つには少し小さすぎるように見えるかもしれませんが、ホームポジションの”F”と”J”にはちゃんと凸があり手の大きさにもよりますが、筆者にはギリギリ問題無いレベルです。MI-E21を使いなれている人からすると、逆にキーピッチが広くて最初違和感を覚えますが、なれるのに時間はかかりません。現に、この文章もC700で書いています。

 タイプの感触については、E21/25DCよりも柔らかめ。といっても、ある程度のクリック感を持っているため、タッチタイプというよりはプッシュタイプという感じ。しっかりとタイプすれば取りこぼしすることはありません。

 キーボードでの一番の違いは、キーの数が1列分増えたことです。これにより、数字をダイレクトに入力できるようになった他、ダイレクトキーも増えていて、記号モードを出さなくとも大体の記号が入力でき、かつ、液晶の明るさやフォントの拡大/縮小などの調整もキーボードから可能で、非常に便利です。MI-E21と違い標準でCut/Copy/Pasteのショートカットにも対応しているのも嬉しいところ。

 ダイレクトキーは、キー設定から任意に変更することができ、設定したキー設定は画面脇にあるショートカットキーにも反映されます。強いて言えば、キーボード上にも電源を切るボタンがあればもっと嬉しかったと思います。
ビュースタイルでは、シャトルとOK/Cancelボタンによりパッド型PDAのように使えます。横幅の広さから手の小さな人にはちょっと操作しにくいかもしれませんが、筆者は、入力しない時はビュースタイルを心地よく多用しています。もう少し欲を言うと、キーボードと同様に、OK/Cancelの機能も自分で設定できるような自由度があったら良かったと思います。

 例えば、ブラウザ(NetFront)ではCancelを戻るに設定できたらとか、カレンダーならOK/Cancelによる月間や1日表示の切替という具合に使い勝手は更に向上しそうです。画面タッチによる操作を減らすためにも、今後に期待したいところです。

イメージ画像 次は、ソフトについて触れてみようと思います。SL-C700は基本機能で良くなっている点が非常に多くなっています。

 まず、月間表示でも件名が閲覧できるスケジューラ。そして、通信可能な機器を判断して接続先/接続先機器などを自動選出する通信アシスト。さらに、タブ切替が可能なブラウザ。標準機能となったファイル管理。最初から使えるワード/エクセル互換アプリケーションなどなど。

 MIザウルスでは、標準機能を上回るほどの閲覧編集のしやすいスケジューラや操作性のよいファイル管理ソフトなど、様々な追加ソフト(MOREソフト)が公開され、使い勝手を向上させることができました。しかし、C700では標準機能ソフトで十分に使い勝手が良いのです。実際、筆者もまだ機能を向上させるための追加アプリケーションは使用していません。ノーマルでも問題ないレベルだと思っています。

 また、キーボード搭載により手書きはあまり注目されないかもしれませんが、認識率も良く、この点はMI-E21以上ではないでしょうか。

ただし、いいことばかりではありません。縦横切替もそうですが、MI-E21に比べレスポンスは遅いです。慣れの問題かもしれませんが、少し早ければと思う時もあります。

 そしてバッテリー。VGAの高精細表示を保つためというのは分かりますが、普段、MP3を聞きながらインターネットなどを行うことが多いので、電池残量が気になります。ここは技術の発達によって今後改善されていくでしょうが・・・。

 また、ワーク用のメモリーが気になるときがあります。せっかくのタブブラウザながら大きなwebページを開くとメモリー不足のメッセージが出ることがあります。ヘビーユーザーは、swapファイルを作成しメモリー不足を補ったりしているようですが、場合によっては故障につながる恐れもあり(当然メーカーのサポートは受けられないのでご注意!)、全ての人にお勧めできるものではありません。

 最後に、MIザウルスで売りの一つであったマルチメディア機能に関しては、制限がありながらもMIザウルス用リモコンCE-RH1は使えるようですし(推奨されていませんが、実用的には使えています)、MP3プレーヤーという意味では同レベルになりましたが、動画はもう少しなめらかだと嬉しいです。

 また、パーソナルデータベースと辞書がサポートの予定になっているのは非常に嬉しいことですが、ザウルスならではのインクワープロや情報ファイルがない点も気になります。
 と、少し要望を書きましたが、そうは言っても筆者はもうMI-E21を使うことはありません。気になるところもあるSL-C700ですが、SL-A300からLinuxZaurusに移行したためか、全体的にすごく進化を感じているのです。OSの特性もあり、MIザウルスに比べ、大きなバージョンアップも期待できるように思えます。

 Linuxは、知識がないと触れない、初心者には手を出しにくいなどと言われていますが、一般ユーザーは、OSを意識する必要はまずないだろうと思います。筆者もLinuxの知識は持ち合わせていませんが、メールやスケジュール、ブラウザなど普通に使っています。もちろんLinuxであることを活用した使い方もありますし、それが良くて使っておられるユーザーもいらっしゃるでしょう。要するに、「そんな懐が深い夢のあるマシンである」というくらいに思っていれば良いのです。

 PDAは人それぞれの使い方があるため、一概にこれが良いとは言えませんが、筆者にとってSL-C700はMI-E21から乗り換えるに値する非常に心強い相棒です。



Profile
森田昌宏(もりたまさひろ)
1969年千葉県出身。ザウルス中心のWebサイト「ザウルスポッケにねじこんで」を主宰し、ハードやソフトの情報を公開中。
MI-106Mからのザウルスユーザーで、MI-310、MI-C1、MI-TR1、MI-E1、MI-E21、SL-A300を経て現在はSL-C700をメインマシンとして使用。
FPDAJ MI-E1プロジェクトの一員として「ザウルスMI-E1スーパーブック」のソフト部門を執筆。
森田昌宏(もりたまさひろ)

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